日本生協連(本部:渋谷区)は、2011年6月17日、都内の東京国際フォーラム(中央区)において、代議員696人(実出席:489人・委任出席:12人・書面:195人)が出席のもとに、第61回通常総会を開催しました。
総会の冒頭、東日本大震災の犠牲者の方々のご冥福をお祈りし黙祷しました。
来賓の岡本充功厚生労働大臣政務官、奥山正夫JA全中副会長(日本協同組合連絡協議会)から、「生協の協同と連帯に基づいた東日本大震災支援の取り組みに敬意を表し第61回通常総会の盛会を祈念します」との主旨の挨拶がありました。
主催者挨拶で山下会長は、大震災へのお見舞いと被災地生協の懸命な取組みと多くの生協の献身的な支援への敬意、今後の支援と協力のお願い、組合員の思いにより沿った復興支援の決意、原発問題への取り組み不足の反省、とエネルギー政策の再構築の必要性、などに触れ、「2012年協同組合年を協同組合の真価を世界に発信し意義のあるものにしよう」と呼びかけました。
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▲主催者挨拶:山下俊史会長 |
▲総会会場の様子 |
●全体討論で14人が発言、全提案議案を可決し、新役員を選出
矢野和博専務理事が、「日本の生協の2020年ビジョン」、「東日本大震災に関する報告と今後の課題」、「2010年度事業報告・決算」、「2011年度事業計画・予算」、「役員の選任」などを一括提案、昼食休憩後、全体討論に移りました。会場からは、「2020年ビジョン」への賛成と反対の発言、「日本生協連の中央会系機能の充実の必要性」「被災地生協から支援へのお礼・現状報告・復興への決意」、「大震災支援の今後の課題」、「長期からする復興へのボランティア対応」、「被災者支援募金」、「大震災対応の陰で沖縄への危険な輸送機の配備」、「原発問題への対応と課題」、「エネルギー政策の見直し」、「医療福祉生協連からの地域まちづくりの呼びかけ」、などのテーマで14人の代議員が、1人4分という持ち時間の中で、活発に発言しました。これらの発言を受けて、矢野専務が、質問への回答を含む「討論のまとめ」を行った後、議案ごとに採決し、全議案は「賛成多数」で採択されました。また、役員の任期満了にともない新役員が選出され、退任した山下前会長に代わり、浅田克己コープこうべ生協組合長理事が新会長に選ばれました。最後に、芳賀唯史専務理事が閉会を宣言し総会を終了しました。
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▲提案・討論のまとめ:矢野和博専務理事 |
▲就任した浅田克己新会長 |
●全体討論で加藤善正県生協連会長理事、飯塚いわて生協理事長が発言しました
岩手県からは加藤善正会長理事、飯塚明彦いわて生協理事長はじめ、いわて生協4人・県学生協2人など14人(書面出席7人を含む)の代議員が出席しました。全体討論では、加藤善正会長理事が大震災被災地支援へのお礼と「生協の2020年ビジョン」への反対の立場から発言をしました。加藤会長理事の「この1年間議論を尽くした上でビジョンを策定すべき」との発言に会場から拍手が起こりました。飯塚明彦いわて生協理事長の「震災被災地支援のお礼といわて生協の現状と復興への決意」を述べた発言に温かい励ましの拍手がありました。以下発言概要を紹介します。
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▲発言する加藤県生協連会長理事 |
▲発言する飯塚いわて生協理事長 |
■加藤県生協連会長:震災後の今こそ1年かけて論議を尽くしてから「ビジョンを決定すべき」
総会前の東北・北海道ブロックの「議案検討会議」が中止になったため、私は今この総会において、第1号議案「日本の生協の2020年ビジョン決定の件」に反対する発言をせざるを得ません。今総会でビジョンを決定することに反対する理由は次の2点です。
第1の理由は、このビジョンを作成し論議した時点と、大震災と原発事故を体験した今日では政治・経済・社会・心理的状況が大きく変化し、とりわけ組合員のくらしと会員生協のありようや、社会的な「価値観」が大きく揺れ、これまでの「モノサシ」から転換を求め始めています。また、原発事故を受けての「脱原発・持続可能なエネルギー」の論議も世界的視野で展開するべきです。これから1年間、全国的にこうした話し合い・論議を行いその上で来年の総会でビジョンを決めても決して遅くはありません。この話し合いや論議の中でこそ、今度の災害に遭って命を失った方や、いまだ将来のくらしが見えない人びとの願いに沿った生協らしい、人間の組織としての「2020年ビジョン」が磨き上げられると確信するからです。第2の理由は、この「ビジョン」そのものの内容の問題です。(詳しくは「岩手県生協連ホームページ」をご覧ください)に示しておりますように沢山あります。「2010年ビジョン・中期計画」の総括も曖昧なままにつくった「言葉としてのビジョン」が、また「蜃気楼的ビジョン」に陥ることのないよう願う一心です。
☆岩手県生協連加藤会長理事の全体討論の発言要旨(PDF 109 KB)
☆岩手県生協連のHPの加藤会長理事の「ビジョンへの意見と提言」はこちら
■飯塚理事長:20万人組合員の力を合わせて生協の再建と岩手の復興に全力を上げます
東日本大震災に際し、燃料の不足と道路事情など大変な困難な中、みなさまから、物心両面での力強いご支援を賜りましたことに、深く感謝御礼申し上げます。
2011年度と2012年度を「震災復興2ヵ年計画」とし、2012年度には何としても単年度赤字を脱却し、2013年度からは新たな発展のための戦略的事業展開に向かえるようにしたい。 経営再建の柱は次の2つです。
- 共同購入は、全国の生協の支援もいただきながら、沿岸部の失われた共同購入利用者を一刻も早<震災前の水準に回復させます。沿岸地域の共同購入事業を再建することが、被災者の生活支援をすすめ、被災地域の復興に貢献することにもなります。
- 店舗は、不退転の決意をもって黒字化します。既存店はNET予算を確実に達成し、ここ3年間にオープンした新店は、3年後に黒字化します。ここ数年は今以上に厳しい経営環境になることが予想されます。いわて生協2千名常勤者は、協同の力を信じ、協同の組織の社会的役割・真価を発揮すべき時と捉えて、20万人組合員みんなの力を合わせて、いわて生協の再建と岩手の復興に全力を上げて取り組む決意です。全国の生協のみなさまの引き続きのご支援と励ましを賜りますればありがたく存じます。
☆いわて生協連飯塚理事長の全体討論の発言要旨(PDF 106 KB)
<問い合わせ先>
岩手県生協連 事務局 電話:019−684−2225
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