岩手県生協連(岩手郡滝沢村)は、12月3日、「2012年度協同組合講座」を、県内の6生協の役職員43人の参加をえて開催しました。この講座は、毎年、県内の生協の役職員(組合員リーダーも含める)を対象に、社会の問題の原因・本質を明らかにして、協同組合の存在意義や使命を学び、生協としてどう実践を広げその使命や期待にこたえるべきかを考えることを目的に開催しています。2012年は国連の「国際協同組合年」であり、そのスローガンは「「協同組合がよりよい社会を築きます」であることから、「国際協同組合年を機に、あらためて協同組合の役割を考える」をテーマに、講師をJC総研の松岡 公明理事にお願いし、生協が地域に根ざし、役立つために、同じ協同組合である農業協同組合を理解し、どのような連携ができるかについて考える内容としました。
※この集会は東北地方の農業の再構築を願う生産者、消費者、市民が集い、06年1月の山形集会をスタートに東北の各県で開催しており、次回は福島開催となります。
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▲講師:松岡 公明理事 |
▲会場の様子 |
◇学習講演:「地域にひらかれた協同組合運動の展開〜蝶を集めるには花を育てよ〜」(要旨抜粋)
講師:JC総研松岡 公明 理事
- 一般的に低い「協同組合の認知度をどう高めるか?」が課題。
- 2012年「国際協同組合年」を契機に、協同組合の共益プラス公益性を追求する「協同組合運動の発展のビジョン」が必要。
- 農協の概要と課題(708農協・組合員は950万人、多様化する組合員への対応が課題)
- 小さなみこしで協同の組織をつくる⇒大きな組織の中に小さな協同活動の組織を作る。
- 農協と生協とのコラボレーション
⇒生協と農協の協同組合間連携の「飼料米」づくりで日本の原風景(田園風景)を守る。
⇒福島県「ふくしま大豆の会」は、農協・農民連・生協・加工メーカーなど10団体のネットワークで、非遺伝子組み換えの大豆を確保。現在1万8千5百件が登録。
⇒パルシステム生協と新潟県のJAささかみの豆腐工場は、地元業者を技術者として入れる取組み。
- 地域社会とつながる協同組合運動を飼料米の豚肉を食べることにより、国内の飼料米生産、自給率向上、あるいは水田を守るという運動に、食生活を通じて参加していることになる。
- 生協そのものを商品としてどう説明できるかが重要
⇒コミュニケーションづくりの中から自覚ある組合員・コア組合員を育てることが重要。
- 組合員は、地域住民との関係をつくっていかなければ協同組合の価値はない。
◇講演後の質疑・応答より:
□農協と生協の新しいコラボレーションの例があれば教えてほしい?
■新しい例としては、買い物難民対策がある。農協では支所もAコープも閉じてしまい、地元商店街もなくなっている場所に、生協の商品を農協の助け合いの人たちが配送する。宅配業として行うと採算が合わないので、地元の助け合いのメンバーとコラボレーションして、買い物難民対策につなげるような話が徐々に出てきている。
■今後の例としては、農協には使っていない建物がたくさんあり、そこで地域の奥さん方で子育て支援をしたり、グループホームへの活用を考える。マンパワーと施設の組み合わせである。他県での事例をまねるのではなく、まず自分の足もとのニーズに沿って、生協として、農協として何ができるかを考え、まさに地域の中でお互いに連携しながら、課題を掘り起こし、解決していくのがコラボレーションではないか
<問合わせ先>
岩手県生協連 事務局 電話:019−684−2225
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