2011年1月31日に発足した「TPP等と食料・農林水産業・地域経済を考える岩手県民会議」(代表世話人:長沢寿一県農協中央会会長)が初めて主催する「TPP(環太平洋経済連携協定)を考える県民フォーラム」が、3月5日、岩手教育会館において、開催されました。当日は、達増拓也県知事や県内の生産者団体、消費者団体、生協など48団体から800人を超える参加があり、TPP問題への関心の高さとこの交渉への参加に反対する世論の高まりが感じられました。
当日は、経済評論家の内橋克人さんによる講演、主催者挨拶、来賓挨拶(県知事・県選出国会議員)、各団体による「TPP反対の訴え」の後、最後に「TPP交渉に断固反対する主旨の「申し合わせ」を参加者の大きな拍手で確認し、フォーラムを終了しました。
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▲会場の席を埋め尽くした参加者たち |
▲講演する内橋克人さん |
☆岩手日報社HPの「Webニュース」の関連報道はこちら
<「県民フォーラム」の概要 司会者:吉田敏恵県生協連事務局長>
●主催者挨拶で長沢寿一代表世話人は「「農業や食糧の自給に万全の準備や対応がないわが国がTPPに参加することは、地域経済を崩壊させる可能性があります。大きな県民運動にしていきましょう」と呼び掛けました。
●来賓挨拶:達増拓也県知事、菊池長右エ門衆議院議員(県選出国会議員代表)
●講演:「TPP開国論を糾(ただ)す〜地域経済と暮らしはどうなる?〜」(要旨)
経済評論家 内橋克人さん
- TPPをめぐる米国の思惑の一つにコメの輸出があります。米国ではコシヒカリやひとめぼれなどが日本の300〜400倍の面積で栽培され、価格は4分の1以下です。穀物の自給は自立国家の証拠です。既に小麦と大豆は大部分を米国産が占めている状況で「開国」が論じられましょうか?!
- 菅直人首相のいう「開国」という「政治ことば」こそ、人々を間違った方向へ導いていきます。「規制緩和」「構造改革」がそうたったように、今回も同じ構図です。「改革」とか「開国」とか、一見、ポジティブな、前向きの言葉の裏に潜む「政治ことば」の罠、それに目を注ぎながら真意を見抜いていかなければなりません。
- 日本の農産物の関税率は11.7%。EU諸国の平均20%、韓国の62.2%と比較するとすでに低いのに、これを、さらに下げるなどのあらゆる関税の撤廃は農業だけの問題でありません。米国のマネー主義経済に日本がのみ込まれていくようなただならぬ気配を感じます。これこそ、「国を開く」どころか、実質はまさに「国を明け渡す」に等しい言わざるを得ません。
内橋さんは「協同組合の中にも、いまだTPPに関する態度を決めかねており、情報を収集中などという方がおります。私は情報が集まった時にはもう手遅れですよと申し上げたい」と穏やかな口調ながら、多くの数字や資料を駆使して、日本がいかに危険な道を歩もうとしているか、今こそ自分たちの意思を指し示すべきだと警告しました。
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▲厳しく現状を指摘する内橋さん |
▲いわて生協の「TPPに反対」の訴え |
●各団体からの「TPPに反対する訴え」
- □消費者からの訴え!
- いわて生協(右上の写真)
- □生産者からの訴え!
- 浄安森林組合
- □事業者からの訴え
- (社)岩手県建設業協会
●県民フォーラム「申し合わせ」と閉会の辞 加藤善正県生協連会長理事
「地域経済が犠牲になるTPP等の交渉に断固反対し、国民各層の理解を得ながら、大きな県民運動を展開して行きましょう」を内容とする「県民フォーラムの申し合わせ」を、加藤県生協連会長理事が提案し、参加者の大きな拍手で確認した後、同氏の閉会の挨拶でフォーラムを終了しました。
<問い合わせ先>
岩手県生協連・岩手県消団連 電話:019−684−2225
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