民主党政権が発足して2カ月、この政権の動きは国民的な関心事ですが、「憲法改正」問題への同政権の考え方は、必ずしも明確ではありません。そうした中、このほど岩手県生協連の加藤善正会長理事が、「平和憲法・9条をまもる岩手の会」のよびかけ人として同会機関紙「岩手の会ニュースNo.50(10月7日発行)」に「民主党政権で憲法改正問題はどうなるか?(上)」と題する一文を投稿しましたので紹介します。今回は「上篇」ですが、「下篇」は「岩手の会ニュースNo.51(11月上旬発行予定)」に掲載後に紹介します。
☆「岩手の会ニュースNo.50(10月7日発行)」はこちら(PDF:257KB)
<以下投稿全文>
民主党政権で憲法改正問題はどうなるか?(上)
〜今こそ憲法を活かす国民運動の重要性〜
「平和憲法・9条をまもる岩手の会」よびかけ人
加藤 善正(岩手県生協連会長理事)
「8・30総選挙」の結果は自公政権の退場、民・社・国3党連立内閣誕生となり、日本政治の新しい展望を期待させることになった。この新しい政治体制が憲法問題にどのような影響をもたらすか、平和憲法・9条を守る運動を粘り強く展開してきた私たち国民の関心も大きい。私見を述べて皆さんのこれからの論議に参加してみたい。
9月1日の朝日新聞に新議員480人の憲法に関する意識調査の結果が掲載された。朝日新聞と東大谷口研究室が総選挙前に立候補予定者へのアンケートから、当選者の回答を抽出集計したものである。それによると、憲法改正に「賛成」なのは31%、「どちらかといえば賛成」が28%となり、賛成派が59%を占めているとはいえ、改憲発議に必要な3分の2を下回った。この記事によると同様な趣旨を聞いた2005年は「改正すべきだ」が72%、「どちらかといえば改正すべきだ」が15%で、改憲派が87%を占めていた。記事は「単純には比較できないが、積極的な改憲派は半減している」と述べている。また、これまで「改憲」の旗を振り続けてきた中山太郎(自民党憲法審議会会長)氏の落選など、積極的改憲派の後退を象徴する選挙結果であることは確かであり、全国に7,000以上も作られた「9条の会」など、安倍内閣の危険な改憲策動に機敏に反対した国民運動の成果が見て取れる。
さらに、9月9日に発表された民主党・社民党・国民新党の連立合意書には「日本国憲法の『平和主義』をはじめ『国民主権』『基本的人権の尊重』の3原則の遵守を確認するとともに、憲法の保障する諸権利の実現を第一とし、国民の生活再建に全力を挙げる」と書き込まれた。このように見ると3党連立政権が続く間は改憲発議はなさそうである。しかし、油断は禁物であることも確かである。先の朝日の記事によると、民主党の議員だけでは、「賛成」16%、「どちらかといえば賛成」30%で計46%、「どちらともいえない」が31%と多く、「どちらかといえば反対」が13%、「反対」は9%に過ぎず、「改憲反対」は22%の少数派である。さらに鳩山首相は「新憲法制定議員同盟」の「顧問」を辞任したというニュースもない。鳩山由紀夫氏は2005年、「新憲法試案」(PHP社から刊行、1,500円)において、現行憲法の限界を示し、「尊厳ある日本を創る新しい憲法を大胆に提起する」と発表している。この本では憲法9条2項は「最も欺瞞的」だと非難して、これを改めて「自衛軍保持」を明記し、海外での武力行使、集団的自衛権の行使を認めるべきだとしている。また前文では「明治憲法を引き継ぐ」ことを述べ、天皇を元首にすることを明記している。このように民主党の体質はこれまでの言動から「護憲」というよりも「改憲」であると見るのが的を得ているのではないか。(つづく)
<問い合わせ先>
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