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県生協連ニュース

2007年1月18日
衆議院議員 玉澤徳一郎 様
(他の7人各議員宛)
岩手県生活協同組合連合会
会長理事 加 藤 善 正
 

灯油の「適正価格と安定供給」「行政の施策強化」を求める要請書

 
 今年は、昨年とはうって変わって暖冬の年末・年始となりましたが、暖冬がこのまま続くのかどうかは不透明です。冬が長く寒い岩手に住む私たちにとって「灯油」は生活必需品(電気・水に等しい)であり、「適正価格で安定的に供給される」ことが願いです。

  昨年は、こうした願いとは裏腹に、石油元売会社は、原油価格の高騰と、12月以降の記録的な寒波・豪雪を口実に、灯油価格の吊り上げをはかり、消費者の家計を圧迫し、地域経済に大きな影響をもたらしました。

 いま原油価格は、06年10月に急落し、以降続落し58ドル台になっています。それにともないCIF価格も下落しているにもかかわらず、石油元売各社は系列販売業者に「07年1月の仕切り価格1円50銭(前後)の値上げ」通知を行っています。

 また、ガソリン・灯油・軽油など石油製品価格が上昇し、施設園芸用暖房や漁船の燃料の値上がりなど農漁業生産者への影響、トラック・バス・航空などの運送業や食品加工・包装資材の製造・販売への影響は深刻です。このように農林漁業や中小企業が、原油高によるコスト増を製品に転嫁できずに苦労しているとき、石油元売各社が高収入を上げつづけ、原油価格の高騰をそく転嫁する企業姿勢はいかがなものかと思います。

 今冬の灯油価格は、3年連続で高騰し、岩手県民生活センター発表の12月灯油配達価格は、18リットル1缶1,437円(1リットル79.8円)になっています。この価格は05年同時期と比較し147円、04年同時期と比較して381円の高騰となり、1世帯約1084リットル使用(いわて生協灯油利用組合員調査)では11,165円(04年では26,459円)の支出増となり、今でさえ厳しいくらしへの影響が一層深刻になってきています。

 日本経済は、いざなぎ景気を上回る景気動向と言われていますが、岩手県でくらす私たちにはそうした実感はなく、くらしと地域経済がますます大変な状況にあるにもかかわらず、「市場競争原理主義」「規制緩和・構造改革」「官から民へ」の社会風潮の中で、「行政不介入」とする行政の責任や役割を見直し、国民の立場に立った行政施策の強化が必要ではないでしょうか。

 灯油の需要期に入り、岩手県議会は、私たち県民の願いを国に対する意見書として採択し提出されました。
 こうしたことを踏まえ、以下の、灯油の「適正価格と安定供給」「行政の施策強化」の実現について要請いたします。

 
 
1. 生活必需品である灯油の需要期。急速に進む低在庫と異常寒波を利用し、昨冬のような便乗値上げが行われないよう調査・監視・指導を行い、それを公表し、適正価格と安定供給を万全の対策で臨むこと。
(1) 政府は石油関連行政の規制緩和をすすめ、行政不介入としながらも、毎年石油産業に、膨大な税金をつぎこんでおり、国民の立場にたった灯油の誰もが納得する「適切な価格」と「安定供給」を実現する責任があります。
(2) 昨年の「灯油独歩高」は、石油元売会社が高位の海外市場への製品輸出を行い、系列への供給責任を後退させ、業転市場の高値形成をはかり、そこへの販売で利益を上げ、またこれらの「市中買い」を系列に値上げ販売したことが要因とされました。今年も在庫削減を進めており、寒波を利用して昨冬のような商法が心配されます。
 
また原油価格に加えて、石油元売各社の収益最大化のための不明瞭な「コスト要因」を一方的に価格転嫁することに私たちは反対します。
(3) 灯油は季節・気候によって需要が大きく変動する商品であり、異常寒波など不測の事態も想定されます。余裕のある需給計画をつくり、不測の事態の場合でも、敏速かつ万全な体制で対応し、くらし・地域経済への影響を最小限にとどめることが不可欠です。
 
2. 国民に対し機敏に情報を提供すること。
(1) 東北各地の拠点ごとの在庫を定期的に把握し、消費者に対し機敏にわかりやすい情報の提供をお願いします。
(2) 価格の動向について小売価格と同様に卸売価格についても毎週調査を行い、わかりやすい形で公表するようお願いします。
 
3. 国民立場に立った「石油行政」施策を強化すること。
  「規制緩和」「市場競争万能主義」のもとで、政府は、1996年3月、特定石油輸入暫定措置法を廃止し、1997年6月には、石油流通における「行政不介入」を旨とする報告書をまとめました。こうした規制緩和の進行により、私たちのくらしはますます厳しくなり、灯油価格の高騰がさらに家計を圧迫しています。
 
こうした規制緩和の弊害と、行政の責任や役割がどうあればいいのか見直し、国民の立場に立った施策が必要ではないでしょうか。
 
以 上
 
※ 参考 この間の灯油価格の推移
 
月別利用量(いわて生協利用組合員平均:l)
  10 月 11 月 12月 1 月 2 月 3 月
2003年
2004年
2005年
2006年
139.7
143.0
150.1
133.2
142.2
117.0
130.9
138.2
170.1
152.0
208.7
194.2
192.2
232.0
250.0
215.5
230.0
151.3
184.9
206.0
193.9

生協価格(配達・おまかせ、140リットル以上利用の場合はさらに50銭安)
2003年
2004年
2005年
2006年
46円
51円
69円
83円
43.50円
57.00円
71.00円
79円
43.50円
58.00円
70.50円
11/6〜
77円
43.50円
58.00円
70.50円
77.00円
43.50
57.00
77.50
(暫定
77円)
43.50円
57 円
82.50円
(暫定
77円)
45,802円
61,086円
80,468円
(暫定
  77円)
 
県平均価格(岩手県民生活センター調べ)
2003年
2004年
2005年
2006年
47.00円
55.70円
71.10円
83.60円
46.10円
57.20円
71.30円
81.60円
46.10円
58.60円
71.60円
79.90円
45.70円
58.50円
78.6円
45.60
58.80
83.80
45.80円
58.80円
82.1円
48,055円
62,772円
83,196円
 
※1: 生協の共同購入をすすめることにより、県平均価格に比べて1億3500万円の家計貢献。
※2: 生協価格では
2003年の同期間(45,802円)に比べ、2005年は34,666円の負担増
2004年の同期間(61,086円)に比べ、2005年は19,382円の負担増